肝硬変 2010/08/29__06:44

今日は肝硬変についてですよん。
膵臓、肝臓、胃の病気は知っていくと結構おもしろいので苦手意識をさいしょから持たない方がいいですよ。私も最初きらいだったっす。

では問題ね。


問題３
肝硬変に関する記述があります。どれがただしいでしょうかー。

（１）肝硬変非代謝期では、高たんぱく食にする。
（２）便秘予防には、ラクツロースを投与する。
（３）高アルブミン血症が見られる。
（４）血小板の増加が見られる。
（５）肝性脳症が見られる場合は、芳香族アミノ酸を投与する。

国試の問題はたいていこんな感じに出るのはみなさん御存知かと思います。
ひとつひとつの単語を理解して、肝臓のはたらきを知らないと解けない問題です。だいじょうぶかな？

では解答。（つづくよ！をおしてください）

正解は（２）のラクツロースを投与する、でしたー。



まず解説に入る前に肝硬変について説明しますよー。

・肝硬変は慢性肝炎が進んでなるもの
・線維化する。よって、かたくなる。（硬変だしね）→機能低下

・ＴＣＡサイクルをしっかり覚えてください。これがわからないと肝臓とはお付き合いできないですよん。

肝臓のはたらき
・ブドウ糖→グリコーゲン（肝臓で貯蔵）
・アミノ酸→グロブリン、アルブミン（血液へ）
・脂肪酸→一部はコレステロール合成に利用


肝硬変には代償性と非代償性のふたつの時期にわけられています。（代償期、ともいいます） 
●代償性肝硬変
壊されて機能していない肝細胞に代わって、まだ働ける肝細胞だけでせかせか機能している時期が代償性。
そうなると残された肝細胞だけで働くから負担がぐっと増えますよね。
代償を払ってでもがんばってはたらく！これが代償性肝硬変。

でもそれだけじゃどうしようもなくなってしまうことも。
それが非代償性肝硬変です。

●非代償性肝硬変
ようは働ける肝細胞が少なくなりすぎて、からだにガタがきてしまっているのが非代償性。代償として払えるものがなにもなくなってしまってますのでね…。
そうするとからだに異常が出てきますが、ごちゃごちゃになるので割愛。合併症などもこの時期心配されます。肝不全とかね。

肝不全になると、血中のAlb（アルブミン）が低下します。
なんでって、肝臓で血清Albがつくられてるからですよ。

あとこわいのはアンモニア！
たんぱく質を代謝するのに出てくるのがアンモニア。肝臓の機能が低下してると解毒しきれなくなってしまいます。
肝不全の時にたんぱく質は与えちゃだめですよー。
代謝出来ない状況なのに、高たんぱく質食なんて与えたら肝臓ぱーんとなってしまいますからね！


ではこれを踏まえて解説に入ります。


（１）　× 肝硬変非代謝期では、高たんぱく食にする。
これは上記にあるように、低たんぱく食だから間違い。
しかも非代償性なのだからもっての外。


（２）　○ 便秘予防には、ラクツロースを投与する。
まず、名前に『～ｌｏｓｅ』とついているものはセルロースと同じようなものだと思って、とりあえずは大丈夫だと思います。（消化できない繊維）

ラクツロースは高アンモニア血症治療薬として医療の現場で使われています。
上記でも説明したように、肝臓がやられてしまうとアンモニアをからだの外に出せないのでラクツロースを用いたりするようです。
なので、これは正解です。


（３） × 高アルブミン血症が見られる。
低アルブミンですね。
くどく言いますよ。肝臓で血清アルブミンがつくられてます。

肝臓で　血清アルブミンが　つくられる。（くどい）

だから血中のアルブミンが低下するのです！


（４） × 血小板の増加が見られる。
まず、血小板は血を固まらせる作用があることは覚えてるでしょうか？だいじですよー血小板。

肝臓ではトロンボポエチンという血小板をつくるために必要な物質が産生されてます。
だから肝臓の機能が低下すれば血小板の数も減っていくわけですね。
結果として出血が止まらないという困った事態になってしまいます。


（５）　× 肝性脳症が見られる場合は、芳香族アミノ酸を投与する。
これはほとんどの問題集で出てくると思います。分岐鎖アミノ酸です！
説明しません！芳香族なわけがない！分岐鎖アミノ酸です！




臨床の問題はなぞときです。推理小説と同じで、必ず答えを導き出すためのヒントがあります。
それを拾えるようにべんきょうしていきましょーう。